旦那と中華料理を食べに行くと、よく目にする飲み物があります。それが「王老吉(ワンラオジー)」という赤い缶のハーブティーです。中国系のスーパーに行けば必ずと言っていいほど置いてあり、実際に飲んでみると、甘くてとても美味しい飲み物です。
ある日、何気なく旦那に「このお茶って何なの?」と聞いてみたところ、「体に熱がこもっている時に飲むものだよ」と言われました。「熱がこもる?」という発言に興味を持ち、中国伝統医学の考え方である「上火(shànghuǒ)」について少し調べてみました。
この記事では、その「上火」と、関連する飲み物「王老吉」について、私が学んだことをまとめてみたいと思います。
王老吉(ワンラオジー)とは
王老吉は200年以上の歴史を持つ伝統的なハーブティーで、清朝時代に広東で生まれました。現在では缶、ペットボトル、ゼリー飲料など、さまざまな形で販売されています。
特に中国の南方ではポピュラーで、ファーストフード店などでも提供されています。
- 商品名(缶の表記):王老吉(ワンラオジー)
- ジャンル:清涼飲料水(ハーブティー)
- 味わい:ほのかに薬草の風味がありつつ、甘くて飲みやすい
「清熱解毒(熱を冷まし、毒素を排出する)」という働きがあるとされており、中国では夏場に特によく飲まれます。
缶に書かれている「让世界更吉祥」は、「世界をもっと縁起良くしよう」という意味のスローガンです。
詳しい味はこちらへ
お茶に砂糖が入っていて、ほんのり甘く、非常に飲みやすいのが特徴です。薬草のような風味はあるものの、クセが強すぎることはなく、初めての人でも抵抗なく楽しめる味だと思います。
いつ飲むべきか?避けるべきか?
王老吉は、体調に応じて「飲むべきタイミング」と「避けるべきタイミング」があります。以下は中医学の考えに基づいた一例です。
状況 | 飲むべきか? | 理由 |
---|---|---|
暑い日や体に熱がこもっている時 | ◎ 飲む | 体を冷やし、熱を発散させる |
口内炎やニキビができた時 | ◎ 飲む | 炎症を鎮めるとされる |
風邪で寒気がある時 | × 避ける | 体をさらに冷やしてしまうため |
胃腸が弱っている時 | × 避ける | 冷やしすぎで消化に負担がかかる |
下痢している時 | × 避ける | 体をさらに冷やして悪化する恐れ |
体の状態に合わせて飲み分けることが重要です。
旦那もよく「体にFireが溜まってきた」と言いながら、王老吉を手に取ることがあります。私から見ると特に変わった様子はないのですが、本人曰く「イライラしたり、なんとなく体が熱っぽく感じるときは、熱が上がってきている証拠」なんだそうです。
上火(上炎)とは?
中国の伝統医学では、「ストレスや食生活の乱れ、睡眠不足」などによって体に余分な熱がこもることを「上火(shànghuǒ)」と表現します。現代中国ではこの概念が今でも広く信じられており、日常生活にもよく登場します。
項目 | 内容 |
---|---|
発祥地 | 中国 |
背景 | 中医学における「火」や「陰陽」「五行」理論 |
主な文献 | 『黄帝内経』『傷寒論』『本草綱目』など |
今日の応用 | 涼茶(王老吉、加多宝など)、漢方、体質判断に広く使われている |
たとえば、「最近上火したかも」「口内炎できた、涼茶飲もう」などです。
原因 | 説明 |
---|---|
精神的ストレス | イライラ、怒り、緊張などで内熱がこもる |
食事の偏り | 辛いもの、揚げ物、脂っこいものの食べ過ぎ |
睡眠不足 | 体を休ませる時間が少なく、熱が放出されない |
飲酒・喫煙 | 体に熱をためやすい習慣 |
便秘 | 老廃物が体にこもり、熱が上昇する |
「火がこもってるから、今日は清熱の飲み物にしよう」といったやりとりが自然に交わされるのは、中医学が日常に根ざしている証拠ですね。
中医学における「火」の概念
中医学では「火(熱)」は五行(木・火・土・金・水)のうちの一つで、陽の性質を持ち、活性・上昇・乾燥などの象徴とされています。この「火」が体内で過剰になると、体調不良や炎症となって現れます。
決して「火=悪いもの」ではありませんが、バランスを崩すと不調の原因になると考えられています。
まとめ
中国の伝統的な飲み物「王老吉」は、単なる清涼飲料水ではなく、中医学の考えに基づいた「体の熱を冷ます」機能を持つ飲料です。科学的なエビデンスは十分ではないにしても、多くの中国人が「上火」という考えに基づき、体調管理の一環として生活に取り入れています。
「体に熱がこもる」という発想は、日本人にとってはやや馴染みが薄いかもしれませんが、健康を見直すきっかけとしてとても興味深い考え方だと感じました。
これから暑くなる季節、もし体がだるい・イライラする・口内炎ができた……そんなときには、王老吉を試してみるのもいいかもしれません。