スパイみたいな日記

中国発祥ティーブランド「喜茶HEYTEA」を体験してみました

ここ数年、中国発の飲料ブランドがカナダで急速に存在感を強めています。とりわけティーやコーヒーを中心としたカフェ業態は勢いがあり、街を歩けば新しい看板を目にする機会がぐっと増えました。かつては「カフェといえば欧米発のチェーン」というイメージが強かったのですが、いまやアジア発のブランドが多くの若者やファミリー層に選ばれ、日常生活の一部となりつつあります。

中でも注目されているのが、中国広東省発の人気ティーブランド HEYTEA(喜茶) と、2022年に誕生してわずか数年で世界中に店舗を広げている Cotti Coffee(庫迪咖啡) です。両ブランドはいずれも中国をルーツとしながらも、展開のスピードや商品戦略、ブランドの打ち出し方が大きく異なります。

今回の記事では、実際にカナダで体験したHEYTEAのレビューを中心に、Cotti Coffeeとの違いを整理しながら「なぜ中国発の飲料ブランドがここまで広がっているのか」という背景についても考えてみたいと思います。ティーカルチャーやカフェ文化に関心をお持ちの方、あるいは海外での中国ブランドの成長に興味がある方にとって、参考になる内容になれば幸いです。

喜茶(HEYTEA)とは?

中国深圳から広がったブランド

HEYTEA(喜茶) は2012年に中国・広東省で誕生したティーブランドです。従来のお茶文化をより現代的に、そして若者にとって身近で魅力的なものにしたいという思いから生まれました。看板商品となったのが「チーズティー」で、高級茶葉の上に塩気を効かせたクリーミーなチーズフォームをのせるユニークなスタイルが話題となり、SNSを通じて一気に中国全土へと広がりました。

現在のHEYTEAは、単なるチーズティーの人気にとどまらず、フルーツをふんだんに使った「フルーツティー」など、多彩なドリンクを展開しています。こうした商品は見た目の華やかさと本格的な味わいを両立しており、「流行の一杯」というよりも、ライフスタイルの一部として定着しつつあります。中国国内だけでなく、シンガポール、日本、カナダなど海外にも店舗を展開し、グローバルブランドとしての存在感を高めています。

日本初上陸の記事はこちらへ(外部リンク)

素材へのこだわりと健康志向のブランド姿勢

HEYTEAが多くの支持を集める理由のひとつは、素材への強いこだわりにあります。ブランドの基本ポリシーとして 「人工クリーマー不使用」「人工香料不使用」 を掲げており、自然素材を活かした味わいを提供しています。この姿勢は、健康志向が高まる世界の消費者ニーズに合致しており、単なる嗜好品ではなく「体にやさしく、おしゃれに楽しめるお茶」として評価されています。

特に近年は「コーヒー中心のカフェ文化」に加えて「お茶をメインに楽しむカフェ文化」が世界的に広がっており、HEYTEAはその代表的な存在です。フルーツや茶葉本来の香りを生かしたドリンクは、インスタグラムなどSNS映えするビジュアルと相まって、多くの若者やファミリー層に受け入れられています。

HEYTEA Instagramはこちら

実際に飲んでみた「Mango Grapefruit Boom」

注文から受け取りまで

今回訪れたのはカナダ・トロントの店舗です。木目を基調とした落ち着いたデザインで、北米のカフェ文化にすっと馴染んでいました。

注文したのは「Mango Grapefruit Boom」。価格は 8.99ドル、税を入れると 10.16ドル です。レシートにはQRコードが印字され、スマホから注文状況を確認できるのも便利でした。

飲んでみた感想

最初に広がるのはグレープフルーツの爽やかな酸味。そこにマンゴーの濃厚な甘さが重なり、バランスの取れた味わいになっています。

果肉やゼリーのような食感もあって、一口ごとに新しい発見があるのも楽しいポイント。人工的な香りは一切なく、フルーツそのものの味をしっかり感じられました。甘さは控えめで後味もすっきりしていて、食後のデザートやリフレッシュにぴったりです。

難点について感じたこと

とても魅力的なドリンクではありますが、実際に利用してみて「少し不便だな」と思う点もありました。こだわりが強いからなのか、作り方が複雑だからなのか、注文してから受け取るまでに時間がかかることがあるのです。私が訪れたときは、だいたい 15分から30分ほど 待つことになりました。

また、注文レシートにはQRコードが印字されており、店員さんから「アプリを通して出来上がり時間を確認してください」と案内されました。ただ、このQRコードを読み取るにはアプリのダウンロードが必要で、さらに利用するには電話番号の登録も必須。少しハードルが高く感じました。

混雑しているときには「今回は注文を控えようかな」と思ってしまうこともあり、この点は改善されるとより利用しやすくなるのではないかと思います。

他ブランドとの違い

カナダにはすでに台湾系のティーブランド(Gong Cha、Chatime、CoCoなど)がたくさん進出しています。その中でHEYTEA(中国本土)は「高級感」「自然派志向」を前面に出している点が特徴的。

実際に店舗を訪れると、若者だけでなく家族連れや年配の方まで幅広い層が来ていました。自然素材やヘルシーなイメージが、世代を超えて受け入れられているのだと思います。

Cotti Coffeeとの比較

比較項目Cotti CoffeeHEYTEA
主たる業態コーヒー中心(コーヒー+ドリンク関連)チェーンティー中心(フルーツティー・チーズティー etc.)ドリンクチェーン
創業時期2022年2012年
創業者/出身背景元 Luckin Coffee の幹部による創業。Luckin のノウハウを引き継ぐ部分あり。中国のお茶文化背景から起きた企業。お茶飲料に特化、茶葉・素材・ブランド体験に重点を置いている。(Wiki)
店舗数および拡大速度非常に速い拡大。短期間で複数千〜1万店舗規模への到達が報じられており、フランチャイズ・コンビニ併設型も含め多様な店舗形態。 (KrASIA)店舗数も多いが、Cotti と比べると拡大速度はやや緩やか。国内中国を中心に、海外展開は限定的かつ慎重。
価格戦略比較的安価・割引プロモーションを重視。スケールメリットを活かすことを狙っており、低価格での普及が戦略の中心。 やや高めの商品もあり、素材・見た目・ブランド体験が価格に反映されている。高級志向。
商品/メニュー展開コーヒーメニューが中心だが、茶系のメニューも増やしている。点数の多さ・店舗の安さで市場シェアを取りに行く動き。 ティーを中心に、フルーツティー・チーズティーなどユニークな商品ラインナップが特徴。見た目の魅力やトレンド性を取り込む新商品が定期的に登場。
ブランドイメージ/顧客経験「手頃な価格」「便利」「高頻度で来やすい」を強調。フランチャイズモデル、店舗数の多さ、アクセスの良さを重視。見た目・体験性・素材の質など、「プレミアム感」「SNS映え」「お茶文化のアップデート」という要素を重視。店舗デザインや素材にこだわり。

拡大スピードの違い

HEYTEAは2012年創業で、現在は約4,000店舗。時間をかけて着実に広がってきました。

一方、Cotti Coffeeは2022年設立とまだ新しいブランドですが、すでに1万5,000店舗を超えると報じられています。元Luckin Coffeeの幹部が立ち上げただけあって、急成長のノウハウを持ち込んでいるのが特徴です。

わさび

私の住む街にも、HEYTEAよりも先にCotti Coffeeがオープンしていました。その勢いを見ると、「やはり今のCottiコーヒーグループの拡大力はすごいな」と感じます。

ブランド戦略と日本展開

両ブランドの方向性ははっきり違います。

  • HEYTEA:自然派、ビジュアル重視、ちょっと特別な一杯
  • Cotti Coffee:低価格、アクセスの良さ、毎日気軽に飲めるコーヒー

日本にも両方進出していて、HEYTEAは大阪・道頓堀や渋谷に、Cotti Coffeeは池袋や心斎橋に店舗があります。それぞれが違うターゲットにアプローチしているのがよくわかります。

呼び名のちがい

中国本土:喜茶(Xǐ chá)(シーチャー)

英語圏:Heytea

日本:喜茶(Heytea)

まとめ

HEYTEAの「Mango Grapefruit Boom」は、フルーツの自然な味わいを生かした特別感のあるドリンクでした。同じ中国発ブランドでも、Cotti Coffeeが「数」で市場を広げる戦略なのに対し、HEYTEAは「質」と「体験」で勝負しているのが大きな違いです。

すでに日本でも両ブランドを楽しめる環境が整っており、中国発のカフェカルチャーがどのように根づいていくのか、とても興味深く感じます。

本記事は「中国発ブランド比較」シリーズの一つとして、先にご紹介した Cotti Coffee独立記事 と合わせて読んでいただけると理解がさらに深まると思います。