カナダでの生活

Spot Prawn:ブリティッシュコロンビアの旬を味わう

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先日、スーパーマーケットの鮮魚コーナーで「Live BC Red Spot Prawn(活・スポット・プラウン)」という札が目に留まりました。大きな水槽の中で赤みがかったエビがせわしなく動いていて、明らかに普通のエビとは違う雰囲気。見ていると、夫が「これ、旬のLive Spot Prawnだよ。毎年この時期にしか手に入らないから、買ってみたら?」とひとこと。

今回は、夫にすすめられて初めてこの春限定のエビを試してみました。正直、それまで私は「スポット・プラウンって何?」という状態だったのですが、調べてみると、どうやらカナダ西海岸でしか味わえない、短い漁期の中でだけ手に入る特別な存在なのだとわかりました。値札の「$35.99/lb」を見て少し迷いながらも、思い切って購入することにしました。

この記事では、スーパーでの出会いから調理、実食までを写真とともにご紹介していきたいと思います。

英語圏では「Shrimp(シュリンプ)」と「Prawn(プローン)」という2つの呼び方があります。どちらも“エビ”という意味ですが、カナダやアメリカでは基本的にShrimpのほうがよく使われているようです。一方で、Spot Prawnのように大型で特定の種類には“Prawn”という言葉が使われることが多く、「Shrimpより高級なイメージ」で扱われることあるそうです。

スポット・プラウンとは?

スポット・プラウンは、カナダ・ブリティッシュコロンビア州の沿岸部で漁獲される、大型の天然エビです。日本ではその姿や味わいが「ボタンエビ」によく似ていることから、寿司店や日本料理店などで「カナダ産ボタンエビ」として提供されることもあります。身はしっとりとした甘みがあり、口の中でとろけるような繊細な食感が特徴です。

このエビが特別とされるのは、その味わいだけにとどまりません。漁が行われるのは毎年5月上旬から6月中旬までの、わずか6〜8週間のみ。この限られた期間以外は漁が禁止されており、漁獲はカナダ政府による厳格な管理のもとで実施されています。

漁法にも特徴があり、「トラップ漁(カゴ漁)」と呼ばれる、環境への負荷を抑えた持続可能な方法が採用されています。誤って捕獲された小さな個体や他種の魚は、速やかに海に戻すことが義務付けられており、資源保護の取り組みが徹底されています。こうした背景から、スポット・プラウンはサステナブル・シーフードの代表的存在としても注目を集めています。

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わさび

「Red Spot Prawn」は、「スポット(斑点)」が体にあることに由来するそうです。「Red」は体の赤みを強調した名称で、アジア系マーケットで特に使われることがあります。

カナダ西海岸の人々にとっての「春の味覚」

スポット・プラウンは、カナダ西海岸、特にブリティッシュコロンビア州の人々にとって、春の訪れを告げる特別な味覚です。バンクーバーでは毎年フェスティバルも開かれ、多くの人が心待ちにしています。一方で、アルバータ州やオンタリオ州などの内陸部では、まだあまり知られていないようです。私自身も、カナダに来て数年が経ちますが、今回初めてその存在を知りました。実際に調理して味わってみると、想像以上の美味しさと、季節を感じさせる味わいに心を奪われました。

地元バンクーバーでは毎年「Spot Prawn Festival(スポット・プラウン・フェスティバル)」が開催されており、春の訪れを告げる味覚として、市民から親しまれています。

調理スタート

今回は、一番シンプルで一番素材の味が引き立つ調理法=塩茹でにしました。鍋にたっぷりの水を沸かし、塩をしっかり加えます。

しっかりと沸騰したところで、スポット・プラウンを投入。

火を通すのは30秒〜1分以内これ以上茹でてしまうと、せっかくのぷりぷり感が損なわれてしまいます。

茹で上がりの美しさと、ひと口で広がる幸福感

口に入れた瞬間に感じたのは、しなやかで繊細な食感でした。加熱しただけとは思えないほど味に奥行きがあり、生臭さはまったく感じられませんでした。何もつけずにそのままいただくことで、素材本来の美味しさを堪能できたように思います。

頭のミソもまた、濃厚ながらくせがなく、深みのある旨味が印象的でした。殻の内側までしっかり味わい、最後のひと口まで惜しみながらいただきました。1ポンド強の量があったにもかかわらず、その美味しさに箸が止まらず、気づけばあっという間に食べ終えてしまいました

わさび

鮮度の良さと素材の力を、改めて実感する一皿となりました。

まとめ

今回初めて、春限定の高級食材・スポット・プラウンを塩ゆででいただきました。カナダ西海岸でしか味わえない天然エビで、鮮度の良さが際立ち、生臭さは一切なく、上品な甘みとやわらかな食感に感動しました。1ポンド以上あったのに、あっという間に完食してしまったほどです。短い漁期や環境に配慮した漁法からも、自然の恵みを大切にいただくという意識を感じました。調理はとてもシンプルでしたが、素材そのものの魅力を存分に楽しむことができ、贅沢で満ち足りたひとときとなりました。来年もまた、この季節を楽しみに待ちたいと思います。

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怠惰なわさび
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