カナダでの生活

カナダで夫婦の会社保険を組み合わせたら治療費が無料に

カナダに住んでいると、日本と大きく違うと感じるのが「会社保険」の仕組みです。特に歯科はカナダでは高額になりやすいため、どれだけ保険でカバーされるかが生活に直結します。

今回は、私と夫、それぞれの会社の歯科保険を組み合わせて使ってみた体験談をご紹介します。(Coordination of Benefits)

実際に利用してみると、一次保険と二次保険を併用することで、予想以上に自己負担を減らすことができました。

歯科医院によっては、患者が立て替えることなく直接両方の保険会社に請求してくれる仕組みもあります。このおかげで、面倒な書類提出の手間もなく、その場で「手出しゼロ」で治療を受けられたのです。

カナダで暮らすうえで、夫婦の会社保険をどう活用するかは、大きな節約ポイントになると実感しました。

給付調整(Coordination of Benefits)とは?

カナダでは、夫婦それぞれが保険に入っている場合、一次保険と二次保険を組み合わせて利用できます。これを 「Coordination of Benefits(給付調整)」 と呼びます。

ルールはシンプルで、

  • 一次保険(Primary insurance) → 自分が勤めている会社の保険
  • 二次保険(Secondary insurance) → 配偶者の会社の保険

という順番で請求が行われます。

例えば私の場合、一次保険として自分の会社の保険で 治療費の80%がカバーされ、残りの20%が自己負担になります。その自己負担分を、二次保険である 夫の会社の保険に請求することで補填される仕組みが「給付調整」です。このように一次・二次を組み合わせることで、最終的に自己負担をゼロにできるケースも多いのです。

詳しく知りたい方はこちらへ(外部リンク)

一次と二次を合わせても請求額を超えて払い戻しされることありません。つまり治療費が200ドルなら、一次と二次を合わせても最大200ドルまでの補償であり、それ以上の金額が戻ってくることはありません。

私の会社の保険:80%カバー

まず、私が勤務先で加入している保険では、歯科治療費の 80% をカバーしてくれます。
つまり自己負担は 20%

例えば治療費が200ドルの場合、

  • 保険:160ドル
  • 自己負担:40ドル

これでも助かりますが、20%の負担はそれなりに大きいと感じます。

夫の会社の保険:90%カバー

一方、夫の会社の保険はさらに手厚く、90%カバー
自己負担は 10% で済みます。

200ドルの治療なら、

  • 保険:180ドル
  • 自己負担:20ドル

私の保険に比べると半分の負担です。

ただし注意点として、カバー率が高い方(旦那の保険)をいきなり一次保険として使うことはできません。私の保険がまだ上限に達していない限り、必ず 自分の保険 → 配偶者の保険 の順番で処理されます。つまり、カバー率が高いからといって自由に優先順位を入れ替えられるわけではなく、あくまでルールに沿って給付調整が行われます。

年間上限について

ここで注意が必要なのが、保険ごとの年間上限です。

  • 私の会社:年間上限 $1,500
  • 夫の会社:年間上限 $1,500

つまり、2つを合わせると 最大 $3,000 までカバー可能です。

もし年間の歯科治療費が $3,000 以内であれば、うまく保険を使うことで自己負担はほとんどゼロにできます。ただし、上限を超える場合は、超過分が自己負担になります。

また、歯科医院によっては「二次保険も直接請求してくれる場合」と「患者が一度自己負担してから二次保険へ自分で申請する場合」があります。そのため、治療を受ける前に 「配偶者の保険も適用できますか?」と確認しておくことが大切です。

わさび

歯科医院のスタッフは保険の年間上限を把握していることが多いため、
「今年はすでに上限まで使ってしまったので、残りの治療は来年に回してください」とお願いすれば、柔軟にアポイントを調整してくれる場合もあります。大きな治療や複数回に分かれる施術は、このようにスケジュールを工夫することで実質的な負担を抑えることができます。

今回の実体験:歯科医院が直接両方に請求してくれた!

歯科医院で治療を受けた際、私は「まず20%を自分で支払い、その領収書を夫の保険に申請する必要があるのだろう」と思っていました。

ところが歯科側から、「残りの20%は当院から直接、旦那さんの保険に請求します。あなたの手出しはゼロで大丈夫ですよ。」と言われたのです!

わさび

電話で予約をする際に、自分の保険と旦那の保険の情報を送り、両方とも使うことができるかを事前に確認していました。

実際、その場で自己負担ゼロで治療を受けられました。医院によってはこうした「二重請求の代行」をしてくれるところがあり、患者にとってはとても助かります。

一次保険(自分の会社の保険)に歯科が直接請求

  • 80%がカバーされる(本来は20%が自己負担)

二次保険(旦那の会社の保険)にも歯科が直接請求

  • 残りの20%をカバーしてくれる=そのため、手出しはゼロ

今回のケースのように、歯科医院が一次・二次保険の両方へ直接請求してくれると、本当にストレスがありません。事前に「この歯科医院はダブル保険に対応しているか?」や 「direct billing(保険会社への直接請求)が可能か」 を確認しておくと安心です。
また、インプラントや矯正など高額治療を検討している人にとって、この仕組みは大きな節約につながります。カナダで暮らす方には、ぜひ知っておいて損のない情報だと思います。

インプラントや矯正治療 は、多くの会社保険では「基本治療」に含まれていないため、対象外となるか、一部しか補償されないことがあります。
そのため、高額な治療を検討する際は、事前に 「この治療は保険でどこまでカバーされますか?」 と確認しておくことが非常に大切です。

日本との違い

日本では国民健康保険や社会保険がベースで、歯科治療は通常 3割自己負担。会社ごとに「二重で保険を使う」という発想はありません。

一方カナダでは、会社ごとの保険がベースになっていて、夫婦それぞれが加入している場合は「組み合わせて最大限利用する」ことができます。この仕組みを知らないと損をしてしまうかもしれません。

さらに日本では、歯科治療にかかる費用は全国一律で決まっていますが、カナダでは歯科医院ごとに(若干)料金が異なるのも大きな特徴です。そのため、同じ治療でも「どのクリニックに通うか」で金額に差が出ることがあります。
また、日本は保険証を提示すれば自動的に自己負担分のみを支払う仕組みですが、カナダは「保険会社への請求方法」や「自己負担の扱い」が医院ごとに違う点も注意が必要です。

つまり、カナダでは 保険の知識と使い方次第で実際の負担額が大きく変わる という点が、日本と最も異なる部分だと感じました。

まとめ:夫婦それぞれの保険で賢く節約!

今回の経験で学んだのは、

  • 一次・二次保険を併用すれば、自己負担がほぼゼロになる
  • 歯科医院によっては二重請求を代行してくれる(患者は支払い不要)
  • 年間上限を意識すれば、最大 $3,000 までカバー可能

ということです。

カナダ生活では、歯科治療費は決して安くありません。でも、夫婦それぞれの会社保険を賢く使えば、驚くほど負担を減らせることがわかりました。ぜひご自身の保険内容を一度確認し、配偶者の保険とあわせてどのように活用できるか検討してみてください。