たばこに対する規制や文化は国によって大きく異なり、それぞれの国が独自のアプローチで喫煙者の健康への影響を抑える努力をしています。
例えば、カナダでは1970年代に50%を超えていた成人喫煙率が、現在では約13%まで減少するという顕著な成果を挙げています。
この記事では、カナダと日本のたばこ事情を比較し、特にカナダのたばこパッケージに施された特徴的な警告表示に焦点を当てて考察していきます。これにより、異なる文化や規制の背景を深く理解し、健康や社会的な影響について考えるきっかけになれば幸いです。
目次
日本とカナダの喫煙事情
カナダの喫煙率
カナダにおける喫煙率は、過去数十年間にわたり着実に減少してきました。特に以下の3つの点が注目されます。
- 減少傾向の継続 カナダの喫煙率は過去40年間で一貫して低下しており、1970年代には約50%に達していた成人喫煙率が2020年には約13%にまで減少しています。
- 若者の喫煙抑制 厳格な広告規制や学校教育の充実により、若者の新規喫煙者の割合が減少しています。
- 喫煙規制の強化 公共の場での喫煙禁止やたばこの税率引き上げが、全体的な喫煙率の減少に寄与しています。

(参考: Historical Trends in Smoking Prevalence)
日本の喫煙率
日本でも近年、喫煙率は減少傾向にあります。全国の成人喫煙率は2019年時点で16.7%と報告されています(男性27.1%、女性7.6%)。(参考: 全国の成人喫煙率)
- 男性の喫煙率: 1995年以降、20歳から60歳代で減少傾向が顕著です。
- 女性の喫煙率: 2004年以降ゆるやかに減少していますが、50歳代女性においては増加傾向がみられます。
これらのデータは、健康意識の向上や規制の強化、さらには加熱式たばこの普及が影響していると考えられます。

日本のデータは2019年が最新です。ただし、2018年以降、タバコの段階的な値上げが実施されているため、2019年以降も喫煙率がさらに低下している可能性があります。
カナダのたばこの規制
カナダオンタリオ州の喫煙年齢
カナダのオンタリオ州では、たばこの購入および喫煙が合法となる年齢は19歳以上です。ただし、25歳未満に見える人に対しては身分証明書の提示を求める義務があります。以下のような公式な身分証明書が利用可能です。
- オンタリオ州の運転免許証
- カナダのパスポート
- カナダ市民証
- カナダ軍の身分証明書
- オンタリオ酒類管理委員会の写真付きカード
Apparent Age
Before selling tobacco to any person who appears to be less than 25 years old, a retailer must request identification and be satisfied that the person is at least 19 years old.
喫煙場所の制限
オンタリオ州では、2017年施行の“Smoke-Free Ontario Act”により、喫煙可能な場所が厳しく制限されています。
- 全面禁止の場所:
- 閉鎖された職場や公共施設
- レストランやバーのパティオ(9メートル以内も含む)
- 例外: ロイヤルカナディアンリージョンや退役軍人団体の特定条件を満たすパティオでは、タバコ喫煙が認められる場合があります。
これらの規制により、非喫煙者や子どもを含む周囲の健康が守られるよう配慮されています。(参考: Where You Can’t Smoke or Vape)
特徴的なパッケージ
カナダのたばこパッケージは非常に目を引くデザインとなっています。具体的には、以下のような特徴があります。
- グロテスクな警告画像:
- 肺がんや舌がん、妊婦への影響など、健康被害を視覚的に訴える画像が大きく印刷されています。
- 禁煙支援のメッセージ:
- “You can quit. We can help”といったメッセージや、禁煙支援の連絡先が記載されています。
- ブランド名の目立たない表示:
- パッケージ全体が健康警告に費やされており、ブランド名は控えめに配置されています。
これらのデザインは喫煙者に対する心理的な抑止効果を狙ったものだと考えられます。
個人的な疑問ですが、パッケージに何故かニコチンやタールの含有量がどこにも記載されていないのが不思議です。
タバコ銘柄
カナダでは紙巻きたばこが一般的で、“Tobacco”または“Cigarette”と呼ばれています。実際にスーパーやコンビニで見かける代表的なカナダ産たばこブランドは以下の通りです:
ブランド名 | 特徴 |
---|---|
Du Maurier | カナダの代表格、まろやかで高級感あり |
Player’s | 歴史あるブランドでクセが少ない |
Belmont | スタイリッシュで軽め、25本入りもあり |
Export ‘A’ | 強めの味が特徴、緑のパッケージ |
Canadian Classics | 手頃な価格とスタンダードな味わい |
Matinée | 軽めで女性人気あり |
ガソリンスタンド併設のコンビニでたばこを買うと、「2パック買うと4ドル安くなるよ!」といったプロモーションを毎回のように店員さんから提案されます。1パックあたりの価格が18〜23ドルと高いため、まとめ買いでの割引は喫煙者にとっては大きな魅力なのかもしれません。
詳しくはこちらへ
カナダのタバコ税金に関してはこちらのブログ記事で詳しく説明しています。
Large King Belmontパッケージ
有名な銘柄として“Large King Belmont”が挙げられ、20本または25本入りで販売されています。

カナダのパッケージは“たばこ=害”を視覚で伝えているのがわかります。

販売店
カナダでは、以下の場所でたばこや葉巻を購入することができます。
- ガソリンスタンド併設のコンビニ: Petro Canada、Esso、Shellなど。ただし、Pioneerでは販売されていません。
- ショッピングモール内の小売店: 特定の専門店でも取り扱いがあります。
日本人は若く見られる場合があるため、25歳を軽く超える年齢であっても、身分証の提示を求められる可能性があります。カナダ運転免許書を持参するのが良いですね。
葉巻
カナダでは、葉巻(Cigar)もたばこと同様に、ガソリンスタンド併設のコンビニや一部小売店で購入可能です。特に「Sail Classic」などのブランドはよく見かけます。
葉巻は一般的に1本ずつビニール包装されており、個別に販売されています。購入時には、「1本だけ買う?それとも箱(8本入り)で買う?」と店員に確認されることが多いです。
- 商品例:Sail Classic
- 類似品:Sail Plantation(名前が似ているが別商品)

Sail Plantation(同じく葉巻き)など、名前が似たものも販売されていますで、購入したいものと間違えないようにしましょう。
まとめ
カナダと日本のたばこ事情を比べてみると、カナダでは「たばこ=健康被害」という強いメッセージが、パッケージそのものに視覚的・心理的に込められていることがわかります。
カナダのたばこは、ただの嗜好品ではなく、社会全体の健康意識や政策の反映ともいえる存在です。パッケージを見ただけで「吸うべきかどうか」を問いかけられるような仕組みが、今のカナダのたばこ文化を象徴しています。